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2005年1月8日(土) 韓国の旅

天気(テグ=快晴,ソウル=快晴)                               日中の気温-0.1℃

●8:50旅館出発→11:30海印寺行きのバスに乗車<11:40出発→13:00到着>→バス停から徒歩(20分)→13:20海印寺到着,見学(約1時間)→14:40西部ターミナル行きバスに乗車→東大邱(KTX64号,17:39東大邱発-19:27ソウル着)→ホテル◎昼食,夕食は屋台

◆午前中は...(半月堂駅→東大邱駅→半月堂駅→聖堂モッ駅)
今日は海印寺に行った後,夜にはソウルに引き返さなければならない。なぜならば今日は帰国前日で,しかも明日午前に出発する飛行機に間に合わないからだ。旅館を出る前に荷物をスーツケースとリュックサックを分けて,身軽にする。スーツケースはKTX東大邱駅のコインロッカーに預けることにした。旅館を出た後,半月堂駅から地下鉄に乗り東大邱駅まで行く。

◆コインロッカー(保管凾)
韓国では「コインロッカー」とはあまり言わないのかもしれない。東大邱駅に来るまでに見かけたコインロッカーには保管凾と書かれていた。なので東大邱駅に着いて案内カウンターに行った時も,私はこの「保管凾」でロッカーのある場所を聞いてみた。東大邱駅にはロッカーは2カ所ある。ロッカーは一見日本のものと変わらないが,よく見てみると指紋センサー式になっている。さすがKTX東大邱駅!と思っていたのだが,この後,地下鉄のふつうの駅でもよく見かけた。韓国では指紋センサー式がふつうなのかもしれない。ハイテクだなぁと思いつつも,もし指紋に反応しなかったりしたらどうするのか,荷物が取り出せないではないか,などとも考えてみたりした。しかし預けない訳にもいかず,中央にあるコンピューターを操作してみた。いきなり最初でつまづく。財布の中に小銭と1万ウォン札しかなかったのだ。そこで売店でジュースを買い,飲み干した後,再度挑戦してみる。ロッカーの番号を入力して,指紋をとる。そしてお金を入れてロックする。操作方法は至って単純なのだが,初めての人にとってはお金が先なのか,番号が先なのか,いつ指を入れるのかまったく見当がつかない。じつは日本語や中国語で簡単な案内板があるのだが,まったく意味不明で,その上,一番肝心な操作説明はすべて省略されてしまっている。英語版もあるのだが,こちらは私の英語力でははるかに及ばない(というか,単に読むのが面倒くさいだけかもしれないが)。そこでものは試し。分からないなりに液晶パネルに表示される指示どおりに2・3回挑戦してみた。そして運良く成功。ロッカーを開ける時が大変そうだが,それはずっと後の話だ。とりあえず記念に写真を...と思っていたら,横からおばちゃんがやってきて...ややこしいことになるかもしれないと思ったが,50代の年上の女性で,きちんとした方だったので話に応じることにした。だいたい韓国人でもない私が,韓国人のしかも年上の方に説明するなんて...。なんて不運なことなのだろう。一瞬そう思った。語学力と精神的な部分でも余裕がなかったのでこの先どうなるのか少し不安だった。でもまぁいいか。最近の私の,この根拠のない開き直り方で新たな挑戦が始まった。…もしこれがうまくいかなかったら何と言われるのだろうか…笑って逃げれば何とかなるだろう...そんなことも考えながらやってみた。

おばちゃん

お兄さん,荷物が取り出せなくてね。ちゃんと指紋センサーに指を入れたんだけど。できないみたい。お兄さん,ちょっとやってみてよ。

はい,分かりました。やってみます。……おかしいなぁ,こうやって,こうやって,あっ,番号は...

おばちゃん

24番。

24番で...

(機械)

(エラーが出る)

あれ,おかしいな。もう1回...

こうやって,こうやって...で,

おばちゃん

これで指を入れて...

機械

(1日超過分200ウォン)

昨日(入れたの)ですか?

おばちゃん

なぁんだ,超過分ね。

超過分です。

おばちゃん

ありがとね。

はい。

おばちゃんは私を韓国人だと思いこんで話しかけてきた。じゃあ,私も韓国人のふりをして最後まで演じきってみようではないか。日本人だということがどこまでバレないで話せるか?これは語学中級者によくある自信過剰な一面である。この変なプライドが私を動かした。ふだんはプライドなんて微塵もないのだが。こうして始まった挑戦だが,結局おばちゃんに悟られることもなく事は済んだ。たぶんおばちゃんは私のたどたどしい会話から「どこか地方から来た大人しめの学生」ぐらいにしか思っていなかっただろう。事なきを得てKTX東大邱駅を出る。

コインロッカーにスーツケースを預けてから,また半月堂駅に引き返した。なぜ引き返してきたのか?どうしても郵便局に行きたかったからだ。郵便局なら引き返さなくてもいくらでもあるはずだが,とにかく時間に迫られていたので場所の分かる郵便局へ行くことにした。半月堂駅の近くの郵便局に行き,急いで年賀はがきを書いて日本に送る。はがき程度なら国際料金で480ウォン(日本円で48円)。日本国内で送るより安い(ちなみに日本国内は50円)。

郵便局を出た後,急いで半月堂から7つ目の駅・ソンダンモッ(聖堂モッ)駅に向かう。ここには西部バスターミナルがあり,ここを拠点にいろいろな行き先のバスがある。もちろん海印寺行きのバスもここから出ている。バスターミナルに到着したのは11:30頃である。次のバスは11:40だ。チケットを購入するため窓口に行った。

(私)        「海印寺行きの往復チケットを下さい」
(受付のお姉さん)「往復チケットはありません。向こうの乗り場で購入して下さい。」

韓国語がたどたどしかったせいか,往復のチケットがないのを知らなかったせいか,受付のお姉様方2人は窓ガラス越しに「きっと日本人なのよ」と言い合っていた。私はまったく気にしない。通じればいいのだ。バスに乗る。

◆海印寺への旅路
海印寺は地下鉄ソンダンモッ駅すぐ隣にある西部バスターミナルからバスで約2時間くらい乗ったところにある。バスの終点なので気軽に行ける。2時間乗って3500ウォン(日本円で約350円)だからこの安さには驚いてしまう。バスターミナルに着いた後,すぐチケットを買ってバスに乗る。11:40バスは出発した。乗客は5人くらいだっただろうか。運転手がそれぞれの行き先を聞く。途中で2,3回客を乗せたり降ろしたりしたが,それ以外はノンストップで走る。途中で高速道路に入ったりするので高速バスの感覚に近い。バスターミナルから出てすぐのところはソウルでもよく見かけるマンションが林立する風景だが,町の中心部を出るとこれがまったく変わるのだ。バスが市内を出てから少し居眠りをしていたのだが,出発から1時間くらい経ったころだろうか。車窓から見る風景はずいぶん違ったものになっていた。違和感がない。ここは外国なのかどうか,ここはもしかして日本なのかどうか見当もつかないくらい非常に日本的な風景に変わっていた。山があり,木があり,川があり,田畑があり,ビニルハウスがある。ハングルがまったくないせいもある。いつの間にか外国にいるという感覚が無くなってしまっていた。そして,しばらくして後,ついに民家が現れると日本式家屋が続くではないか。この時の感想を私はノートにこうメモしている。「静岡県藤枝と和歌山県本宮と熊本県阿蘇を足して3で割ったような風景」後で読み返してみると分かりそうで分からない表現だ。とにかく少し昔の日本的な風景が続いていることを表したかったのだろう。民家は集落のようにほんの少し点々としているだけで,自然の中に生活がある感じだ。山を少し登り始めるともうすぐ海印寺に到着する。

◆海印寺
新羅時代(西暦802年,以下西暦で表示)に華厳宗を広めるために建立された寺である。大邱から定期バスが出ているが実際はかなり離れたところにあり,場所は地図では慶尚南道にある。度重なる火災に見舞われ現存する建物は1817年に建立されたものである。世界遺産に登録されているのは,大蔵経板閣に保管されている『高麗八万大蔵経』である。大蔵経とは仏教の経典・注釈書を網羅した叢書のことで,海印寺にある『高麗八万大蔵経』は現存する多くの大蔵経の中でも最高峰のものとされている。仏教を建国の理念とし,仏の加護で北方遊牧民の侵略から国を守ろうとした高麗が全勢力を傾けて作成した。1236年より制作作業に着手したが,経文を木板の上に精巧な技術で彫り込む作業に莫大な労力と時間,費用がかかった。結局1251年に王都のあった江華島で完成した大蔵経はその後,1398年になって海印寺に納められることになった。現在は世界的な文化遺産として大蔵経板閣で保管されていて,1995年にユネスコ世界遺産に登録された。

◆その他の記事は後日掲載予定。


   
 地下鉄・半月堂駅の近くの通りの様子

   
  韓国では指紋センサー式のコインロッカーが多い

   
  東大邱・西部バスターミナル(ここから海印寺行きのバスに乗る)

   
  景色は日本と変わらない(出発して1時間くらい,車窓から)

   
   日本式家屋が多く,しかも比較的新しい感がする

   
  川はほとんど凍っている(海印寺)

   
  海印寺入り口

   
  

   

   

   

     

   

    

   

    

    

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